2008年、北京オリンピック金メダリスト、サムエル・ワンジル選手。 日本でも活躍していた彼は、ケニアの若き英雄でした。 その英雄がおととい、自宅での転落により亡くなりました。まだ24歳でした。 日本でも大きく報道されたこのニュースは、ケニアではもちろん新聞一面のトップニュース。
実は、ワンジル選手はニャフルル出身。
この事故は私の任地ニャフルルで起こりました。 私の学校から歩いて行ける距離に彼の自宅も、事故前に彼が立ち寄っていたバーもあります。
なのに、当たり前だけど、私はいつもと変わらない日常です。
両親が離別し、子どものころから家が貧しく、小学校も中退し、ここまでの人生大きな苦労をしてきている彼が、一瞬にして得た富と栄誉。
24歳にして2人の妻とそれぞれに子どもを持つ父親でした。
ニャフルルにはとても大きな家を構え、車を十数台所持していたとも聞いています。
このニュースを話題にしていた同僚の様子を見ていると、彼に対する少なからずのひがみやうらやみが感じられます。
だけど、彼は間違いなくケニアと日本の、世界の英雄であり、子どもたちにとっての憧れでした。
努力を重ねたら、最後まで諦めなければ、明るい未来をつかめるということを示してくれていた偉大な英雄でした。
どうして彼は命を落とさなくてはならなかったのか、防ぐことはできなかったのか、いろんなことを考えてしまいます。彼の死にはいろいろな複雑な背景があるように思えてなりません。
子どもたちに、彼の死をどのように伝えたらよいか迷っています。
人々の心に、彼が英雄として残り続けますように。
いつまでも彼の努力や功績が人々を勇気づけますように。
彼の死によって誰かが不条理に苦しめられることがありませんように。
世界がもっともっと平和にむかいますように。
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